配偶者居住権とは?2018年改正・成立要件・短期居住権との違いを解説【宅建】
(はいぐうしゃきょじゅうけん)
配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が相続開始後も居住建物に無償で住み続けられる権利のことです。2018年の民法改正(2020年4月施行)で新設されました。宅建試験では「成立要件」「配偶者短期居住権との違い」「登記の可否」が出題されます。
この記事の信頼性について
| 執筆者 | 宅建マスター編集部 |
|---|---|
| 更新日 | 2026年5月19日 |
| 主な参照元 | 不動産適正取引推進機構(RETIO)、国土交通省 |
試験の日程・合格基準・法令改正は必ず公式情報でご確認ください。
配偶者居住権とは
配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していた配偶者が、遺産分割・遺贈・死因贈与によってその建物に無償で終身または一定期間住み続けることができる権利のことです(民法第1028条)。2018年改正民法で新設され、2020年4月1日から施行されています。
新設の背景:従来は配偶者が居住建物を相続すると預金等の取得分が減少し生活費に困るケースがありました。居住権(評価額が低い)と所有権を分離することで、配偶者が居住しながら預金等も取得しやすくなりました。
配偶者居住権と配偶者短期居住権の比較
| 項目 | 配偶者居住権(民法第1028条) | 配偶者短期居住権(民法第1037条) |
|---|---|---|
| 存続期間 | 終身(原則)または遺産分割・遺言で定めた期間 | 遺産分割成立まで、または相続開始から6か月のいずれか長い方 |
| 取得方法 | 遺産分割・遺言(遺贈)・死因贈与 | 法律上当然に発生(申請不要) |
| 登記 | 登記可能(居住建物所有者に登記請求権あり) | 登記不可 |
| 譲渡 | 譲渡不可 | 譲渡不可 |
| 使用収益 | 居住のみ(転貸等は所有者の承諾が必要) | 居住のみ |
根拠:民法第1028条・第1031条・第1037条
配偶者居住権の成立要件と効力
成立要件:①相続開始時に被相続人所有の建物に居住していたこと、②遺産分割・遺贈・死因贈与・審判によって取得すること、③建物が被相続人と第三者の共有でないこと(原則)
登記請求権:配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の所有者に対して配偶者居住権の登記を求めることができます(民法第1031条)。登記後は第三者に対抗できます。
無断転貸の禁止:配偶者は居住建物の所有者の承諾なしに第三者に転貸することはできません(民法第1032条第3項)。
消滅事由:配偶者の死亡・存続期間満了・居住建物の所有者による消滅請求(義務違反の場合)等。
重要:配偶者居住権は譲渡できません(民法第1032条第2項)。また、建物の所有者は配偶者居住権の登記がある建物を第三者に売却できますが、買主は配偶者居住権の登記があれば対抗されます。
試験ポイント
- 1配偶者居住権は2018年改正民法で新設(2020年4月施行)。「従来からあった権利」は誤りです。
- 2原則として終身で存続。遺産分割・遺言で期間を定めることもできます(民法第1028条第3項)。
- 3配偶者短期居住権は法律上当然に発生。遺産分割が成立するまでの間、申請不要で居住できます(民法第1037条)。
- 4配偶者居住権は登記可能・短期居住権は登記不可。この差異が試験頻出のポイントです。
練習問題
配偶者居住権に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- ア.配偶者居住権は相続開始と同時に法律上当然に発生する
- イ.配偶者居住権は登記することができない
- ウ.配偶者居住権は原則として配偶者が死亡するまで存続する
- エ.配偶者居住権は第三者に譲渡することができる
配偶者居住権は原則として配偶者が死亡するまで(終身)存続します(民法第1028条第3項)。アは誤り(法律上当然に発生するのは配偶者短期居住権・民法第1037条)。イは誤り(配偶者居住権は登記できます・民法第1031条)。エは誤り(配偶者居住権は譲渡不可・民法第1032条第2項)。
この用語が出る問題を解く
用語を理解したら実際の問題で定着を確認しましょう。権利関係の過去問・オリジナル問題を解説付きで演習できます。
権利関係の問題を解く(無料)よくある質問
Q配偶者居住権はいつから施行されましたか?
2018年の民法改正により新設され、2020年4月1日から施行されています(民法第1028条)。
Q配偶者居住権と配偶者短期居住権の違いは何ですか?
配偶者居住権は遺産分割等で取得し原則終身・登記可能です。配偶者短期居住権は法律上当然に発生し最長6か月・登記不可です(民法第1028条・第1037条)。
Q配偶者居住権は登記できますか?
できます。居住建物の所有者に対して登記を求めることができ、登記後は第三者に対抗できます(民法第1031条)。