債権者代位権とは?要件・転用・詐害行為取消権との違いを解説【宅建】
(さいけんしゃだいいけん)
債権者代位権とは、債権者が自己の債権を保全するために、債務者に代わって債務者の権利を行使できる制度のことです(民法第423条)。宅建試験では「行使要件(債務者の無資力)」「転用(登記請求への活用)」「詐害行為取消権との違い」が出題されます。
この記事の信頼性について
| 執筆者 | 宅建マスター編集部 |
|---|---|
| 更新日 | 2026年5月19日 |
| 主な参照元 | 不動産適正取引推進機構(RETIO)、国土交通省 |
試験の日程・合格基準・法令改正は必ず公式情報でご確認ください。
債権者代位権とは
債権者代位権とは、債権者が自己の債権を保全するために、債務者の有する権利(第三者に対する権利)を、債務者に代わって行使することができる権利のことです(民法第423条)。
具体例:AがBに対して100万円の貸金債権を持ち、BがCに対して同額の売買代金債権を持っているが、Bが資力不足でAに返済できない場合、AはBに代わってCに売買代金の支払いを請求できます。
行使要件と効果
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 被保全債権の存在 | 債権者自身が債務者に対する債権を有すること(弁済期到来が原則) |
| 債務者の無資力 | 債務者が弁済期の債務を弁済できない状態にあること |
| 債務者が権利を行使しないこと | 債務者が自ら権利行使をしていないこと |
| 債権者自身が保全する必要があること | 代位行使しないと債権回収が困難になること |
根拠:民法第423条
2020年改正の変更点:改正前は弁済期の到来が要件でしたが、改正後は「弁済期前でも保存行為として行使できる場合がある」ことが明文化されました(民法第423条第2項)。
転用:登記請求への活用(重要)
債権者代位権の重要な実務活用として、不動産登記の代位申請があります。
例:A→B→Cと不動産が順次売買されたが、BがAから登記を移転しない場合、CはBの代わりにAに対してBへの登記移転を請求できます(判例)。
この「転用」は試験でも出題されるため、「債権者代位権は金銭債権の保全以外にも使える」という点を理解しておくことが重要です。
詐害行為取消権との比較
| 比較項目 | 債権者代位権(民法第423条) | 詐害行為取消権(民法第424条) |
|---|---|---|
| 目的 | 債務者の権利を代わりに行使 | 債務者の詐害行為を取り消す |
| 行使先 | 債務者の権利の相手方(第三者) | 受益者または転得者 |
| 行為の種類 | 債務者が行使しない権利 | 債権者を害する行為(売却・贈与等) |
| 無資力要件 | 必要 | 必要 |
| 裁判所への申立て | 不要(直接行使可能) | 取消訴訟が必要 |
根拠:民法第423条・第424条
試験ポイント
- 1債権者代位権の行使には「債務者の無資力」が原則必要。「資力があっても使える」は原則誤りです(転用の例外あり)。
- 2不動産登記の代位申請(転用)が重要。金銭債権の保全以外にも利用できます(判例)。
- 3詐害行為取消権は取消訴訟が必要。債権者代位権は裁判外でも行使できます。
- 4債権者代位権は「債務者の権利を代わりに行使」。詐害行為取消権は「債務者の行為を取り消す」。目的が異なります。
練習問題
債権者代位権に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- ア.債権者代位権は常に裁判所への申立てが必要である
- イ.債権者代位権の行使には原則として債務者の無資力が必要である
- ウ.債権者代位権は金銭債権の保全にのみ利用できる
- エ.詐害行為取消権と債権者代位権はまったく同じ要件で行使できる
債権者代位権の行使には原則として債務者の無資力が必要です(民法第423条)。アは誤り(裁判外でも行使できます)。ウは誤り(不動産登記の代位申請のような転用もあります)。エは誤り(詐害行為取消権は取消訴訟が必要で要件も異なります・民法第424条)。
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権利関係の問題を解く(無料)よくある質問
Q債権者代位権の行使要件は何ですか?
被保全債権の存在・債務者の無資力・債務者が権利を行使しないことが主な要件です(民法第423条)。
Q債権者代位権の転用とは何ですか?
金銭債権の保全以外への活用で、不動産登記の代位申請が代表例です。AがBに登記移転しない場合に、CがBに代わってAに登記を請求できます(判例)。
Q詐害行為取消権との違いは何ですか?
債権者代位権は債務者の権利を代わりに行使する制度で裁判外でも行使できます。詐害行為取消権は債務者の詐害行為を取り消す制度で取消訴訟が必要です(民法第424条)。