権利関係

転貸借(又貸し)とは?無断転貸・賃貸人の直接請求をわかりやすく解説【宅建】

(てんたいしゃく・またがし)

転貸借(又貸し)とは、賃借人が賃借物を第三者(転借人)にさらに賃貸することのことです。宅建試験では「賃貸人の承諾の要否」「無断転貸の効果」「適法な転貸借における賃貸人の直接請求権」が頻出です。

この記事の信頼性について

執筆者宅建マスター編集部
更新日2026年5月19日
主な参照元不動産適正取引推進機構(RETIO)国土交通省

試験の日程・合格基準・法令改正は必ず公式情報でご確認ください。

転貸借とは

転貸借とは、賃借人(転貸人)が賃貸人から借りた物を、さらに第三者(転借人)に賃貸することのことです(民法第612条)。

登場人物:賃貸人(大家)→ 賃借人(転貸人)→ 転借人(又借り人)の三者関係です。

承諾の要否と無断転貸の効果

状況効果賃貸人の対応
賃貸人の承諾ありの転貸借適法な転貸借として有効直接、転借人に賃料を請求できる
賃貸人の承諾なし(無断転貸)賃貸人は契約を解除できる(原則)ただし信頼関係を破壊しない特段の事情があれば解除不可(判例)
転借人が無断転貸を知らない転借人は保護されない(対抗不可)賃貸人は転借人に明渡しを請求できる

根拠:民法第612条

適法な転貸借における賃貸人の直接請求

賃貸人の承諾を得た適法な転貸借の場合、賃貸人は転借人に対して直接賃料を請求できます(民法第613条第1項)。

ただし、請求できる額は賃貸借の賃料と転貸借の賃料のいずれか低い方が上限です。

転借人が転貸人に賃料を前払いしていた場合でも、賃貸人への直接請求を免れることができません(民法第613条第1項ただし書き)。

賃貸借が終了した場合:転借人には賃貸人から通知して明渡しの機会を与えなければなりません(合意解除の場合は転借人に対抗できない・民法第613条第3項)。

合意解除と転借人:賃貸人・賃借人の合意による賃貸借の解除は、転借人に対抗できません(民法第613条第3項)。賃借人の債務不履行による解除は転借人に対抗できます。

試験ポイント

  • 1転貸借には賃貸人の承諾が必要。「賃借人は自由に又貸しできる」は誤りです(民法第612条)。
  • 2無断転貸は原則として解除事由になるが、信頼関係破壊がなければ解除不可(判例)。「無断転貸なら常に解除できる」は誤りです。
  • 3適法な転貸借では賃貸人は転借人に直接請求できる。「賃借人(転貸人)経由でしか請求できない」は誤りです(民法第613条)。
  • 4合意解除は転借人に対抗できない。「合意解除したら転借人も退去しなければならない」は誤りです(民法第613条第3項)。

練習問題

問題

転貸借に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ア.賃貸人の承諾なしに転貸借しても契約の解除事由にならない
  • イ.賃貸人の承諾を得た転貸借の場合、賃貸人は転借人に直接賃料を請求できる
  • ウ.賃貸人と賃借人が合意解除すれば、転借人にも当然に対抗できる
  • エ.転借人が前払いで賃料を支払っていれば、賃貸人からの直接請求を拒絶できる
正解:イ
賃貸人の承諾を得た適法な転貸借の場合、賃貸人は転借人に直接賃料を請求できます(民法第613条第1項)。アは誤り(無断転貸は原則解除事由)。ウは誤り(合意解除は転借人に対抗できません・民法第613条第3項)。エは誤り(前払いがあっても賃貸人からの直接請求を拒絶できません)。

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よくある質問

Q転貸借には賃貸人の承諾が必要ですか?

必要です(民法第612条)。無断転貸は原則として賃貸借契約の解除事由になります。

Q適法な転貸借では賃貸人は誰に請求できますか?

転借人に直接賃料を請求できます(民法第613条第1項)。請求額の上限は賃貸借賃料と転貸借賃料のいずれか低い方です。

Q賃貸人と賃借人が合意解除した場合、転借人はどうなりますか?

合意解除は転借人に対抗できないため、転借人は引き続き建物を使用できます(民法第613条第3項)。