権利関係

不法行為とは?要件・効果・使用者責任をわかりやすく解説【宅建】

(ふほうこうい)

不法行為とは、故意または過失によって他人の権利・利益を侵害し、損害を与えることをいいます。宅建試験では「不法行為の成立要件」「時効期間」「使用者責任」「工作物責任」が頻出です。

不法行為とは

不法行為とは、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う制度のことです(民法第709条)。

不法行為の成立要件と効果

要件内容
故意または過失加害者に故意(わざと)または過失(不注意)があること
権利・利益の侵害他人の権利または法律上保護される利益を侵害すること
損害の発生財産的損害・精神的損害(慰謝料)が生じていること
因果関係侵害行為と損害の間に因果関係があること
加害者に責任能力行為の責任を弁識する能力があること(未成年・精神障害者は要確認)

根拠:民法第709条

効果:不法行為が成立すると、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できます(財産的損害・慰謝料)。

特殊な不法行為

使用者責任(民法第715条)

被用者(従業員)が事業の執行について第三者に損害を与えた場合、使用者(雇用主)も損害賠償責任を負います。

使用者は、被用者の選任・監督について相当の注意をした場合は免責されますが、実際の免責はほとんど認められません。

使用者が賠償した場合、被用者に求償できます。

工作物責任(民法第717条)

土地の工作物(建物・塀・橋等)の設置・保存の瑕疵(欠陥)により他人に損害を与えた場合の責任です。

占有者:損害発生を防止するのに必要な注意をした場合は免責されます(過失責任)。

所有者:損害発生防止の注意をしていても免責されません(無過失責任)。

共同不法行為(民法第719条)

数人が共同の不法行為により他人に損害を与えた場合、各人が連帯して損害全額を賠償する責任を負います。

不法行為の消滅時効

起算点時効期間
損害および加害者を知った時から(主観的起算点)3年(人の生命・身体侵害は5年)
不法行為の時から(客観的起算点)20年

根拠:民法第724条・第724条の2

試験ポイント

  • 1工作物責任の所有者は無過失責任。占有者は過失責任・所有者は無過失責任という差異が頻出です。
  • 2不法行為の消滅時効は「知った時から3年」。債権の消滅時効(知った時から5年)と区別して覚えましょう。
  • 3使用者責任は免責されにくい。「選任・監督に相当な注意をした場合」と定められていますが、実務上の免責はほぼ認められません。
  • 4共同不法行為は連帯責任。各加害者が損害全額について責任を負います。

練習問題

問題

工作物責任(民法第717条)に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ア.占有者も所有者も無過失責任を負う
  • イ.占有者は過失責任・所有者は無過失責任を負う
  • ウ.所有者も損害防止に相当な注意をすれば免責される
  • エ.工作物責任は建物のみに適用される
正解:イ
工作物責任では、占有者は損害発生防止に必要な注意をした場合は免責(過失責任)されますが、所有者は注意をしても免責されません(無過失責任)(民法第717条)。エは誤り(土地の工作物全般が対象で建物に限りません)。

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よくある質問

Q不法行為の消滅時効は何年ですか?

損害および加害者を知った時から3年(人の生命・身体侵害は5年)、または不法行為の時から20年です(民法第724条・第724条の2)。

Q工作物責任で所有者が免責されることはありますか?

ありません。所有者の責任は無過失責任で、損害発生防止に注意していても免責されません(民法第717条第1項後段)。

Q使用者責任とは何ですか?

被用者が事業の執行について第三者に損害を与えた場合に、使用者も連帯して損害賠償責任を負う制度です(民法第715条)。