時効とは?取得時効・消滅時効の違いをわかりやすく解説【宅建】
(じこう)
時効とは、一定の事実状態が一定期間継続した場合に、権利の取得または消滅という法律効果を認める制度のことです。宅建試験では「取得時効と消滅時効の期間」「時効の援用」「時効の完成猶予・更新」が頻出です。
時効とは
時効とは、一定の事実状態が一定期間継続した場合に、その事実状態に対応した法律効果(権利の取得または消滅)を認める制度のことで、取得時効と消滅時効の2種類があります。
補足:時効が完成しても、当事者が「時効の援用」をしなければ権利の取得・消滅の効果は確定しません。裁判所が自動的に時効の効果を適用することはありません(民法第145条)。
取得時効と消滅時効の比較
| 種類 | 内容 | 期間 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 取得時効(所有権) 善意・無過失 | 他人の物を所有の意思を持って占有し続けた場合に所有権を取得 | 10年 | 占有開始時に善意かつ無過失 |
| 取得時効(所有権) 悪意・有過失 | 同上(自分の物でないと知っている場合) | 20年 | 占有開始時に悪意または有過失 |
| 消滅時効(債権) 主観的起算点 | 債権者が権利を行使できることを知った時から | 5年 | 2020年改正で新設 |
| 消滅時効(債権) 客観的起算点 | 権利を行使できる時から | 10年 | 改正前からの規定 |
| 消滅時効(不法行為) | 損害および加害者を知った時から | 3年(人の生命・身体の侵害は5年) | 行為の時から20年も適用 |
根拠:民法第162条(取得時効)・第166条・第724条(消滅時効)。2020年改正民法適用。
時効の完成猶予と更新
完成猶予(旧:停止):時効が完成するのを一時的に止める効果。裁判上の請求・仮差押え・催告などが原因となります。
更新(旧:中断):それまでの時効期間がリセットされ、新たにゼロから進行し直す効果。確定判決・債務の承認などが原因となります。
2020年改正民法で「中断・停止」という用語が「更新・完成猶予」に改称されました。試験では改正後の用語で出題されます。
重要:催告の効力:催告(請求の意思を相手に伝えること)により、その時から6か月間は時効の完成が猶予されます(民法第150条)。ただし催告は時効を更新(リセット)しません。
試験ポイント
- 1取得時効は「善意無過失なら10年・悪意または有過失なら20年」。この数字の組み合わせを正確に覚えましょう。
- 2時効は援用しなければ効果が生じない。「時効期間が経過すれば自動的に権利が消滅・取得する」は誤りです。
- 3債権の消滅時効は「知った時から5年・行使できる時から10年」の二本立て。2020年改正の重要な変更点です。
- 4「中断・停止」は改正で「更新・完成猶予」に。古い用語での出題はされません。改正後の用語を使いましょう。
練習問題
AがBの土地を、自分の土地だと信じて(善意・無過失で)占有し続けた場合、所有権の取得時効が完成するのは占有開始から何年か。
- ア.5年
- イ.10年
- ウ.15年
- エ.20年
占有開始時に善意かつ無過失であれば、所有権の取得時効は10年の占有継続で完成します(民法第162条第2項)。悪意または有過失の場合は20年必要です。
時効に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(2020年改正民法)。
- ア.時効期間が経過すれば、援用しなくても自動的に権利の効果が生じる
- イ.債権の消滅時効期間は、権利を行使できる時から一律10年である
- ウ.債権は、権利を行使できることを知った時から5年で消滅時効が完成する
- エ.催告により時効が更新(リセット)される
アは誤り(時効は援用しなければ効果が生じません・民法第145条)。イは誤り(2020年改正で「知った時から5年」も追加され二本立てになりました)。ウが正しい(民法第166条第1項第1号)。エは誤り(催告は完成猶予の効果のみで、更新〈リセット〉にはなりません・民法第150条)。
Aの債権について、Aが催告を行った場合の時効の扱いとして正しいものはどれか。
- ア.催告により時効期間がリセットされ、ゼロから再び進行する
- イ.催告から6か月間は時効の完成が猶予される
- ウ.催告から1年間は時効の完成が猶予される
- エ.催告に時効への効力はない
催告は時効の完成猶予事由で、催告の時から6か月間は時効の完成が猶予されます(民法第150条)。ただし催告は時効を更新(リセット)しません。6か月以内に裁判上の請求等を行う必要があります。
この用語が出る問題を解く
用語を理解したら実際の問題で定着を確認しましょう。権利関係の過去問・オリジナル問題を解説付きで演習できます。
権利関係の問題を解く(無料)よくある質問
Q取得時効の期間は何年ですか?
占有開始時に善意・無過失であれば10年、悪意または有過失であれば20年です(民法第162条)。「善意無過失→10年、それ以外→20年」と覚えましょう。
Q時効の援用とは何ですか?
時効の援用とは、時効によって利益を受ける当事者(取得時効なら占有者、消滅時効なら債務者)が、時効の効果を受けることを主張する行為です。時効期間が経過しても、援用がなければ自動的に効果は生じません(民法第145条)。
Q時効の「更新」と「完成猶予」の違いは何ですか?
更新(旧:中断)はそれまでの時効期間がリセットされゼロから再進行する効果で、確定判決や債務の承認が原因となります。完成猶予(旧:停止)は一時的に時効完成が止まる効果で、催告(6か月猶予)や裁判上の請求の係属中などが原因となります(民法第147条〜第161条)。