権利関係

代理とは?任意代理・法定代理・無権代理の違いをわかりやすく解説【宅建】

(だいり)

代理とは、代理人が本人の名において法律行為を行い、その効果が直接本人に帰属する制度のことです。宅建試験では「有権代理・無権代理・表見代理の区別」「代理人の行為能力」「自己契約・双方代理の禁止」が頻出です。

代理とは

代理とは、代理人が本人の名において(顕名)相手方と法律行為を行い、その法律効果が直接本人に帰属する制度のことです(民法第99条)。

補足:「顕名」とは:「本人の代理人として」行為することを示すことです。顕名がない場合、代理人が自分のために行為したものとみなされます(相手方が代理人の代理意思を知っていた場合を除く)。

代理の種類と比較

種類内容根拠
任意代理本人の意思(委任契約等)に基づいて代理権が与えられる場合民法第104条〜
法定代理法律の規定によって代理権が与えられる場合(親権者・後見人等)民法第818条等
無権代理代理権がないのに代理人として行為した場合民法第113条〜
表見代理代理権がなくても、外見上代理権があるように見える場合に、相手方を保護する制度民法第109条・第110条・第112条

根拠:民法第99条〜第118条

無権代理と表見代理

無権代理の効果

無権代理による契約は、本人が追認するまで効力が確定しません

相手方は①本人に追認するよう催告する、②契約を取り消す(本人が追認するまで)の2つの選択肢があります。

本人が追認を拒絶した場合、無権代理人は相手方に対して履行または損害賠償の責任を負います(民法第117条)。

ただし、相手方が代理権のないことを知っていた(悪意)か、無権代理人が行為能力者でない場合は責任を負いません。

表見代理が成立する3つのケース

根拠条文ケース
第109条代理権授与の表示(「この者に代理権を与えた」と他人に伝えたが実際には与えていない)
第110条権限外の行為(代理権の範囲を超えて行動し、相手方がそれを信じた)
第112条代理権消滅後の行為(代理権が消滅したが、相手方がそれを知らなかった)

表見代理の効果:表見代理が成立すると、有権代理と同じ効果が発生し、契約の効果が本人に帰属します。相手方は善意かつ無過失であることが必要です。

代理の重要ルール

代理人の行為能力は不要:代理人は行為能力者でなくてもよい。未成年者でも代理人になれます(民法第102条)。

自己契約・双方代理は原則禁止:同一の法律行為について、一方の代理人となりながら他方当事者となる(自己契約)、または双方の代理人となる(双方代理)ことは原則禁止です(民法第108条)。

代理行為の瑕疵の判断は代理人を基準詐欺強迫・善意・悪意の有無は代理人を基準に判断します(民法第101条)。

復代理人の選任:任意代理人は原則として本人の許諾または止むを得ない事情がなければ復代理人を選任できません(民法第104条)。

試験ポイント

  • 1代理人は行為能力者でなくてよい。「未成年者は代理人になれない」は誤りです(民法第102条)。
  • 2無権代理と表見代理の区別。表見代理は善意無過失の相手方を保護する制度で、相手方が選択できます(表見代理 or 無権代理人への責任追及)。
  • 3代理行為の判断基準は「代理人」。悪意・善意の判定を本人基準と勘違いしないよう注意してください。
  • 4自己契約・双方代理は本人の許諾があれば有効。「常に無効」は誤りです。

練習問題

問題 1

代理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ア.代理人は行為能力者でなければならない
  • イ.代理人は行為能力者でなくてもよい
  • ウ.自己契約は本人の許諾があっても常に無効である
  • エ.代理行為の善意・悪意は本人を基準に判断する
正解:イ
代理人は行為能力者でなくてもよいとされており、未成年者でも代理人になれます(民法第102条)。アは誤り。ウは誤り(本人の許諾があれば自己契約・双方代理は有効)。エは誤り(代理行為の判断は代理人を基準にします・民法第101条)。
問題 2

AがBに代理権を与えていないにもかかわらず、BがA代理人と称してCと売買契約を締結した(Cは善意無過失)。この場合に関して正しいものはどれか。

  • ア.契約は当然に有効となり、AはCに対して契約の履行義務を負う
  • イ.契約は当然に無効となる
  • ウ.AがBに代理権を与えたと信じさせる外観があれば、表見代理が成立しうる
  • エ.無権代理人Bは常に責任を負わない
正解:ウ
無権代理の場合、本人の追認がなければ本人に効果は帰属しません(ア・イが誤り)。ただし、相手方Cが善意無過失で、かつ代理権があるような外観があれば表見代理(民法第109条等)が成立しうるので、ウが正しい。エは誤り(無権代理人は原則として相手方に対し履行または損害賠償責任を負います・民法第117条)。
問題 3

Aが未成年者BをAの代理人として、Cとの売買契約を締結させた。この契約の効力として正しいものはどれか。

  • ア.Bが未成年者なので契約は取り消すことができる
  • イ.Bが未成年者でも代理行為として有効で、効果はAに帰属する
  • ウ.Bが未成年者なので代理人になれず、契約は無効である
  • エ.Bの法定代理人の同意が必要である
正解:イ
代理人は行為能力者でなくてもよいので(民法第102条)、未成年者Bも代理人になれます。代理行為の効果は本人Aに直接帰属します。未成年者は自分の法律行為を取り消せますが、他人の代理人として行った行為は取消しの対象になりません。

この用語が出る問題を解く

用語を理解したら実際の問題で定着を確認しましょう。権利関係の過去問・オリジナル問題を解説付きで演習できます。

権利関係の問題を解く(無料)

よくある質問

Q無権代理と表見代理の違いは何ですか?

無権代理は代理権なしに行われた行為で本人への効果は帰属せず、本人の追認があって初めて有効になります。表見代理は代理権がなくても外見上代理権があるように見える場合に、善意無過失の相手方を保護するため有権代理と同じ効果を認める制度です(民法第109条・第110条・第112条)。

Q代理人の行為能力は必要ですか?

不要です。代理人は行為能力者でなくてもよく、未成年者でも代理人になれます(民法第102条)。ただし制限行為能力者を代理人として選任した場合、本人はそのことを理由に取消しを主張することはできません。

Q自己契約・双方代理が禁止される理由は何ですか?

自己契約・双方代理は、代理人が一方の利益を図り他方の本人の利益を害するおそれがあるため原則禁止されています(民法第108条)。ただし本人の事前の許諾がある場合や、債務の履行のみを行う場合は例外として許されます。