共有とは?持分・変更・管理・処分の違いをわかりやすく解説【宅建】
(きょうゆう)
共有とは、一つの物について複数人が共同で所有権を持つ状態のことです。各共有者が持つ権利の割合を「持分」といいます。宅建試験では「変更・管理・保存行為の区分」と「それぞれに必要な同意の割合」が頻出です。
共有とは
共有とは、一つの物について、2人以上の者がそれぞれ持分(もちぶん)という割合的な所有権を有する状態のことで、各共有者はその持分の割合に応じて共有物の使用収益が認められます。
補足:持分とは、共有における各共有者の権利の割合のことです。例えばAとBが各2分の1の持分で土地を共有している場合、AとBはそれぞれ2分の1の持分権を持ちます。持分の割合が不明な場合は等しいものと推定されます(民法第250条)。
行為の種類と必要な同意
| 行為の種類 | 具体例 | 必要な同意 |
|---|---|---|
| 保存行為 | 修繕・不法占有者への返還請求 | 各共有者が単独で可能 |
| 管理行為 | 短期賃貸借・利用・改良 | 持分の過半数の同意 |
| 変更行為(軽微でないもの) | 売却・抵当権設定・増改築 | 共有者全員の同意 |
| 変更行為(軽微なもの) | 形状・効用の著しい変更を伴わない変更 | 持分の過半数の同意(2021年改正) |
根拠:民法第251条・第252条。2021年(令和3年)改正で管理行為・変更行為の規定が見直されました。
重要:「過半数」は持分の過半数であり、共有者の人数の過半数ではありません。例えばAが3分の2、BとCがそれぞれ6分の1を持つ場合、Aだけで持分の過半数を満たします。
自分の持分についての権利
・各共有者は、自己の持分を自由に処分できます(他の共有者の同意は不要)。
・自己の持分に抵当権を設定することも、単独で可能です。
・各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます(民法第256条)。ただし5年を超えない期間を定めて分割禁止の合意をすることもできます。
試験ポイント
- 1「保存は単独・管理は過半数・変更は全員」を確実に覚える。この3区分の同意要件が試験の核心です。
- 2「過半数」は人数ではなく持分割合の過半数。人数で判断する誤りの選択肢が頻出です。
- 3自己の持分の処分・抵当権設定は単独でできる。「共有者全員の同意が必要」という引っかけに注意しましょう。
- 4軽微な変更は2021年改正で「過半数」で可能になった。旧法では変更はすべて全員同意が必要でしたが改正で緩和されました。
練習問題
A・B・Cが各3分の1の持分で土地を共有している。この土地を第三者に売却するために必要な同意として、正しいものはどれか。
- ア.Aのみの同意で足りる
- イ.A・Bのうち2名の同意(持分の3分の2)で足りる
- ウ.A・B・C全員の同意が必要
- エ.過半数の共有者(2名以上)の同意で足りる
共有物の売却は共有物全体の変更行為に該当するため、共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。持分の過半数(3分の2以上)では足りず、A・B・C全員の合意が必要です。
A・Bが各2分の1の持分で建物を共有している。次のうち、Aが単独でできるものはどれか。
- ア.建物全体を第三者に売却する
- イ.建物を第三者に賃貸する(管理行為)
- ウ.不法占拠者に対して建物の明渡しを請求する(保存行為)
- エ.建物に増築工事を行う
ア(売却)は変更行為なので全員の同意が必要。イ(賃貸)は管理行為なので持分の過半数の同意が必要(A単独では2分の1で過半数に届かない)。ウ(不法占拠者への明渡請求)は保存行為なので単独でできます(民法第252条但書)。エ(増築)は変更行為なので全員同意が必要。
A・B・Cが各3分の1の持分で共有する土地について、AがA自身の持分を第三者Dに売却したい。この場合、BとCの同意は必要か。
- ア.不要(自己の持分の処分は単独でできる)
- イ.必要(持分の処分は全員同意が必要)
- ウ.B・Cのうち一方の同意があれば足りる
- エ.持分の過半数の同意が必要
各共有者は、自己の持分を自由に処分できます。他の共有者の同意は不要です(民法第206条・第249条)。共有物全体の処分(売却等)は全員同意が必要ですが、自分の持分だけを売却・担保設定する場合は単独で可能です。
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用語を理解したら実際の問題で定着を確認しましょう。権利関係の過去問・オリジナル問題を解説付きで演習できます。
権利関係の問題を解く(無料)よくある質問
Q共有物の管理行為に必要な同意は何ですか?
共有物の管理行為(短期賃貸借・利用・改良など)は、共有者の持分の過半数の同意が必要です(民法第252条)。人数の過半数ではなく持分割合の過半数である点に注意が必要です。
Q自己の持分だけを売却することはできますか?
はい、できます。各共有者は自己の持分を自由に処分でき、他の共有者の同意は不要です(民法第206条)。共有物全体の処分には全員の同意が必要ですが、持分だけの処分は単独で行えます。
Q共有物の分割はいつでも請求できますか?
原則としていつでも請求できます(民法第256条)。ただし、5年を超えない期間を定めて分割禁止の合意をすることもできます。裁判所による分割(裁判分割)を請求することもできます(民法第258条)。