権利関係

賃貸借とは?存続期間・対抗力・解除条件をわかりやすく解説【宅建】

(ちんたいしゃく)

賃貸借とは、賃貸人(貸主)が賃借人(借主)に物を使用収益させることを約し、賃借人が賃料を支払うことを約する契約のことです。宅建試験では「存続期間の上限」「対抗力の要件」「転貸・賃借権譲渡」「解除の要件」が頻出です。

賃貸借とは

賃貸借とは、賃貸人が賃借人に対してある物の使用収益をさせることを約し、賃借人がこれに対してその賃料を支払うことおよびその物の返還をすることを約することによって成立する契約のことです(民法第601条)。

補足:不動産の賃貸借(建物・土地の貸し借り)については、民法の規定に加えて借地借家法が適用されます。借地借家法は民法の特別法として民法に優先します。

存続期間の上限

種別存続期間の上限根拠
民法上の賃貸借最長50年(2020年改正で旧20年から延長)民法第604条
借地権(借地借家法)最短30年(上限の定めなし)借地借家法第3条
借家権(普通)(借地借家法)期間の定めなし、または1年以上借地借家法第29条
定期借家(借地借家法)期間の定めがある(更新なし)借地借家法第38条

根拠:民法第601条〜第622条の2、借地借家法

賃借権の対抗力

土地の賃借権:登記がなくても、土地上に登記した建物があれば第三者に対抗できます(借地借家法第10条)。

建物の賃借権:登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば第三者に対抗できます(借地借家法第31条)。

民法上の賃借権:賃借権の登記が必要ですが、賃貸人には登記に協力する義務はありません(民法第605条)。

重要:建物賃貸借の対抗要件は「登記」または「引渡し(入居)」です。「引渡しを受けていれば登記がなくても新しい所有者に賃借権を対抗できる」という点が頻出ポイントです。

転貸・賃借権の譲渡

転貸(又貸し):賃借人が第三者(転借人)にさらに貸すこと。賃貸人の承諾が必要です(民法第612条)。

賃借権の譲渡:賃借人が賃借権を第三者に譲渡すること。同じく賃貸人の承諾が必要です。

無断転貸・無断譲渡:賃貸人の承諾なしに転貸・譲渡した場合、賃貸人は契約を解除できます。ただし、信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合は解除できないとする判例があります(「信頼関係破壊の理論」)。

適法な転貸借の場合:賃貸人は転借人に直接賃料を請求できます(民法第613条)。

試験ポイント

  • 1建物賃貸借の対抗要件は「引渡し」で足りる。登記がなくても引渡しを受けていれば新所有者に対抗できます(借地借家法第31条)。
  • 2民法上の賃貸借の存続期間の上限は「50年」(2020年改正)。旧法の「20年」と混同しないよう注意が必要です。
  • 3転貸・賃借権譲渡には賃貸人の承諾が必要。無断転貸は解除事由になりますが「信頼関係破壊の理論」により常に解除できるわけではありません。
  • 4民法の賃貸借と借地借家法の関係。不動産(土地・建物)の賃貸借は借地借家法が民法に優先して適用されます。

練習問題

問題 1

AがBに建物を賃貸していた。その後AがCにその建物を売却した場合、BはCに対して賃借権を対抗するために何が必要か(借地借家法適用)。

  • ア.賃借権の登記が必要
  • イ.建物の引渡し(入居)を受けていれば登記がなくても対抗できる
  • ウ.Aの承諾書が必要
  • エ.対抗できる手段はない
正解:イ
借地借家法第31条により、建物賃貸借は引渡し(入居)を受けていれば賃借権の登記がなくても第三者(新所有者C)に対抗できます。BがAから建物の引渡しを受けていれば、建物がCに売却されてもBはCに賃借権を対抗できます。
問題 2

BがAから賃借している建物をCに無断で転貸した場合の説明として、正しいものはどれか。

  • ア.転貸借は当然に無効であり、Aは解除できない
  • イ.賃貸人Aは原則として賃貸借契約を解除できるが、信頼関係を破壊しない事情があれば解除できない場合がある
  • ウ.Aは解除できるが損害賠償は請求できない
  • エ.BがCに転貸しても賃貸人Aへの義務はCに移る
正解:イ
無断転貸は賃貸人の承諾なしに行われた転貸で、賃貸人は原則として契約を解除できます(民法第612条)。ただし判例(信頼関係破壊の理論)により、信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合は解除が認められません。エは誤り(無断転貸でもBのAへの義務は消えません)。
問題 3

民法上の賃貸借の存続期間の上限として、正しいものはどれか(2020年改正民法)。

  • ア.上限なし
  • イ.最長20年
  • ウ.最長30年
  • エ.最長50年
正解:エ(最長50年)
2020年(令和2年)4月施行の改正民法により、民法上の賃貸借の存続期間の上限が旧法の20年から50年に延長されました(民法第604条)。50年を超える期間を定めても、50年に短縮されます。

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よくある質問

Q建物賃貸借の対抗要件は何ですか?

借地借家法第31条により、建物の引渡し(入居)を受けていれば賃借権の登記がなくても第三者に対抗できます。建物が売却された場合でも、引渡しを受けていれば新所有者に賃借権を主張できます。

Q転貸には賃貸人の承諾が必要ですか?

はい、必要です(民法第612条)。賃貸人の承諾なく転貸した場合、賃貸人は原則として賃貸借契約を解除できます。ただし信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合は解除できないとした判例があります。

Q民法の賃貸借と借地借家法の関係は?

借地借家法は民法の特別法で、土地・建物の賃貸借に関して民法の規定に優先して適用されます。例えば建物賃貸借の対抗要件は民法では「登記」が必要ですが、借地借家法では「引渡し」で足りるとされています(借地借家法第31条)。