権利関係

借主の保護規定とは?強行規定・修繕・原状回復をわかりやすく解説【宅建】

(かりてほごきてい)

借地借家法は借主(賃借人)を保護するための強行規定を多く含みます。宅建試験では「強行規定に反する特約の効力」「賃貸人の修繕義務」「原状回復の範囲」「敷金の返還」が出題されます。

強行規定と任意規定

規定の種類内容当事者の合意による変更
強行規定(借地借家法)借主に不利な特約は無効変更不可(無効になる)
任意規定(民法等)当事者が特約で変更できる規定合意で変更可

根拠:借地借家法第9条(借地)・第30条(借家)

無効になる特約の例

・借地権の存続期間を30年未満とする特約(借地借家法第9条)

・普通借家契約で更新を認めない特約(定期借家でない場合)

・修繕費用を全額借主負担とする特約

有効な特約の例:定期借家・定期借地(法律の要件を満たした場合)・賃料の増額禁止特約

修繕義務と原状回復

賃貸人の修繕義務(民法第606条)

賃貸人は目的物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負います。

ただし借主の故意・過失による破損は除きます(借主が修繕費を負担)。

急迫の修繕:借主が修繕の必要性を賃貸人に通知したにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に修繕しない場合、借主は自ら修繕できます(2020年改正・民法第607条の2)。

原状回復義務(民法第621条)

賃借人は退去時に故意・過失・その他通常の使用を超える使用によって生じた損傷を原状に回復する義務を負います。

通常損耗・経年変化(画鋲の穴・日焼け等)は賃借人の負担でない(賃貸人が費用負担・敷金で充当)。

国土交通省のガイドラインで具体的な負担区分が示されています。

敷金の取り扱い

敷金:賃貸借契約において借主が賃貸人に預けるお金で、賃料不払い・原状回復費用に充当するための担保(民法第622条の2)。

賃貸借契約終了時に、未払賃料・原状回復費用を控除した残額を返還しなければなりません。

敷金は明渡し完了後に返還する(明渡しを受けるまで返還しなくてよい)。

敷金に対する賃借人の権利:敷金返還請求権(明渡し完了後に発生)。賃貸借期間中は敷金の返還を請求できません。

試験ポイント

  • 1通常損耗は賃借人の負担でない。「退去時にすべての修繕費を負担させる特約」は借主に不利な特約として無効の場合があります。
  • 2急迫の修繕は借主が自ら行える(2020年改正)。「修繕は必ず賃貸人が行う」は誤りです。
  • 3敷金は明渡し完了後に返還。「退去の申告をした時点で返還」は誤りです。
  • 4借地借家法の強行規定に反する借主不利の特約は無効。「特約があれば常に有効」は誤りです。

練習問題

問題

借主の保護規定に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ア.通常の使用による損耗(通常損耗)は賃借人が原状回復費用を負担する
  • イ.賃貸人が修繕をしない場合、一定の要件のもとで賃借人が自ら修繕できる
  • ウ.敷金は退去の申し出をした時点で返還しなければならない
  • エ.修繕費全額を借主負担とする特約は常に有効である
正解:イ
2020年改正民法により、賃貸人が相当期間内に修繕をしない場合等は賃借人が自ら修繕できます(民法第607条の2)。アは誤り(通常損耗は賃貸人の負担)。ウは誤り(敷金は明渡し完了後に返還)。エは誤り(借主に不利な特約は無効になる場合があります)。

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よくある質問

Q借地借家法の強行規定とは何ですか?

借主に不利な特約は無効になる規定のことです(借地借家法第9条・第30条)。借地権の30年未満特約等が無効になります。

Q賃貸人の修繕義務はどのような内容ですか?

使用収益に必要な修繕を行う義務を負います(民法第606条)。借主の故意・過失による破損は除きます。

Q原状回復義務とは何ですか?

退去時に故意・過失・通常を超える使用による損傷を原状に回復する義務です(民法第621条)。通常損耗は含まれません。