権利関係

契約不適合責任とは?旧・瑕疵担保責任との違いをわかりやすく解説【宅建】

(けいやくふてきごうせきにん)

契約不適合責任とは、売買の目的物が契約の内容に適合しない場合(品質・数量・種類の不適合)に、売主が買主に対して負う責任のことです。2020年改正民法で「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に改められ、買主の権利が大幅に拡充されました。

契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことで、買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を行使できます(民法第562条〜第564条)。

補足:旧「瑕疵担保責任」との違い:旧法では買主は①損害賠償または②解除のみでした。改正後は③追完請求(修補・代替物の引渡し等)と④代金減額請求が新たに追加されました。また、責任の根拠が「隠れた瑕疵」から「契約内容への不適合」に変わりました。

旧・瑕疵担保責任との比較

項目旧・瑕疵担保責任(〜2020年3月)契約不適合責任(2020年4月〜)
対象隠れた瑕疵(買主が知らない欠陥)種類・品質・数量の契約不適合(隠れているかどうか問わない)
買主の権利損害賠償・解除のみ追完請求・代金減額請求・損害賠償・解除
期間制限知った時から1年以内に請求知った時から1年以内に通知(請求ではなく通知)
売主の帰責事由損害賠償は無過失でも可損害賠償は売主の帰責事由が必要(解除・追完・減額は不要)

根拠:民法第562条〜第566条(2020年4月1日施行)

買主の4つの権利

① 追完請求:目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しを請求(民法第562条)

② 代金減額請求:追完請求後に売主が追完しない場合、不適合の程度に応じた代金減額を請求(民法第563条)

③ 損害賠償請求:売主に帰責事由がある場合に損害賠償を請求(民法第564条・第415条)

④ 契約解除:催告解除(追完の機会を与えた後)または無催告解除(重大な不適合の場合)(民法第564条・第541条・第542条)

期間制限

買主は、不適合を知った時から1年以内に売主へ通知することで、権利を保存できます(民法第566条)。

旧法は「知った時から1年以内に請求」でしたが、改正後は「通知」で足ります(その後に請求すればよい)。

通知後の具体的な請求権は、通常の消滅時効(知った時から5年・行使できる時から10年)に服します。

売主が不適合を知っていた場合(悪意)または重大な過失で知らなかった場合は、1年の通知期間制限は適用されません。

試験ポイント

  • 12020年改正で「瑕疵担保責任」→「契約不適合責任」に変更。旧法の知識のまま解答すると誤りになります。
  • 2買主の権利は追完・減額・損害賠償・解除の4つ。旧法は損害賠償と解除の2つのみでした。
  • 3期間制限は「知った時から1年以内に通知」。「請求」ではなく「通知」で足りる点が改正のポイントです。
  • 4損害賠償のみ売主の帰責事由が必要。追完請求・代金減額・解除は売主の帰責事由不要です。

練習問題

問題 1

契約不適合責任に関する記述のうち、正しいものはどれか(2020年改正民法)。

  • ア.買主は損害賠償と解除のみを請求できる
  • イ.買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償・解除を行使できる
  • ウ.契約不適合責任は売主が悪意の場合のみ成立する
  • エ.不適合を知った時から1年以内に請求しなければならない
正解:イ
アは誤り(旧・瑕疵担保責任の権利。改正後は追完・減額も追加)。イが正しい(民法第562条〜第564条)。ウは誤り(売主の善意・悪意を問わず成立)。エは誤り(1年以内の「通知」で足り、請求まで行う必要はありません・民法第566条)。
問題 2

買主が契約不適合責任に基づく損害賠償請求をするために必要な要件として正しいものはどれか。

  • ア.売主の帰責事由は不要で、不適合があれば当然に請求できる
  • イ.売主に帰責事由(故意・過失等)が必要である
  • ウ.買主も帰責事由がない場合のみ請求できる
  • エ.損害賠償は解除とセットでのみ請求できる
正解:イ
損害賠償請求は売主に帰責事由が必要です(民法第564条・第415条)。一方、追完請求・代金減額請求・解除は売主の帰責事由がなくても行使できます。この違いが試験頻出ポイントです。
問題 3

買主Aが引き渡された建物の品質不適合を発見した。Aが契約不適合責任を追及するために必要な期間制限として正しいものはどれか。

  • ア.発見から6か月以内に請求しなければならない
  • イ.引渡しから1年以内に請求しなければならない
  • ウ.発見(知った時)から1年以内に売主へ通知すれば足りる
  • エ.期間制限はなく、いつでも請求できる
正解:ウ
契約不適合を知った時から1年以内に売主へ通知することで権利を保存できます(民法第566条)。「1年以内に請求」ではなく「1年以内に通知」で足りる点が改正の重要ポイントです。通知後は通常の消滅時効の範囲内で請求できます。

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よくある質問

Q瑕疵担保責任と契約不適合責任の最大の違いは何ですか?

買主の権利が拡充されました。旧法は損害賠償と解除のみでしたが、改正後は追完請求(修補等)と代金減額請求も追加されました(民法第562条〜第564条)。

Q契約不適合責任の期間制限はどうなりますか?

不適合を知った時から1年以内に売主へ通知することで権利を保存できます(民法第566条)。旧法の「1年以内に請求」から「1年以内に通知」に緩和されました。

Q売主に過失がなくても追完請求できますか?

できます。追完請求・代金減額請求・解除は売主の帰責事由(故意・過失)がなくても行使できます。損害賠償請求のみ売主の帰責事由が必要です(民法第562条・第415条)。