35条・37条・クーリングオフ ── 宅建業法の「期限と義務」完全ガイド

宅建業法35条が定める重要事項説明は、必ず「契約締結前」に行わなければなりません。説明者は宅地建物取引士(専任宅建士でなくてもよい)で、宅建士証の提示が義務づけられています。相手方から提示を求められたときだけ提示すればよいと誤解されがちですが、求められなくても提示が必要です。書面の交付が必須で、口頭説明のみでは35条違反となります。

37条書面(契約締結時書面)は、売買・交換・賃貸借の契約締結後「遅滞なく」交付します。「遅滞なく」には具体的な日数の規定がなく、実務上は契約締結当日〜数日内が想定されます。2022年の宅建業法改正により、37条書面への押印が廃止され宅建士の記名のみで足りるようになりました。電子書面での交付も相手方の承諾があれば認められています。

クーリングオフは、事務所等以外の場所で買受申込または契約を行った買主が契約を解除できる制度です。行使できる期間は業者が書面でクーリングオフの告知をした日から8日以内(書面発信主義)。告知から8日を過ぎた場合、または物件の引渡しと代金全額の支払いが両方完了した後は行使できません。業者はクーリングオフに対して損害賠償や違約金を請求することは一切できません。

1早見表

項目数値・期限補足
35条説明のタイミング契約締結前契約後では違反。口頭説明だけでも違反(書面交付必須)。
35条説明の実施者宅建士(専任でなくてよい)宅建士証を提示しなければならない。提示を求められなくても提示義務あり。
37条書面の交付タイミング遅滞なく(契約締結後)「遅滞なく」は特定の日数規定なし。できる限り早くが原則。
37条書面への記名宅建士の記名(押印不要)2022年改正で押印廃止。記名のみで足りる。
クーリングオフ行使期限告知日から8日以内書面による告知から起算。8日目も含む(初日算入)。
クーリングオフできない場合①事務所等での契約事務所・専任の置かれた案内所等で申込・契約した場合は適用外。
クーリングオフできない場合②物件引渡し+代金全額支払い済み両方が完了した場合は行使不可。片方だけでは不可にならない。
クーリングオフの方法書面(電磁的方法も可)口頭は不可。書面発信主義(発信時点で効力発生)。
クーリングオフ後の返還義務速やかに全額返還業者は損害賠償・違約金請求不可。申込証拠金も含め全額返還義務。
35条説明の電磁的方法相手方の承諾で可IT重説も認められるが、宅建士証の提示に代わる措置が必要。

数値・手続の正誤は演習と公式テキストで必ず確認してください。

2試験で押さえるポイント

  1. 35条説明は契約締結前に行わなければならない(契約後は違反)
  2. 35条説明者は宅建士で宅建士証の提示が必須(求められなくても提示する)
  3. 37条書面は契約締結後に遅滞なく交付(具体的日数規定なし)
  4. 37条書面は2022年改正で押印廃止・宅建士の記名のみでよい
  5. クーリングオフの行使期限は書面告知日から8日以内(書面発信主義)
  6. 物件引渡し+代金全額支払い完了の両方が揃うとクーリングオフ不可
  7. クーリングオフ後に業者は損害賠償・違約金を請求できない
  8. 事務所等(専任の置かれた案内所含む)での申込・契約はクーリングオフ対象外

3よくある誤解・注意点

  1. 37条書面の交付タイミングを「契約締結前」と誤解する(正しくは契約後)
  2. クーリングオフの起算点を「申込日」とする誤り(正しくは書面告知日)
  3. 物件引渡しだけ完了すればクーリングオフ不可と誤解(代金全額支払いも必要)
  4. 35条説明を専任宅建士しかできないと誤解(専任でなくてよい)
  5. クーリングオフを口頭で行使できると誤解(書面または電磁的方法のみ)
  6. 37条書面への押印が2022年後も必要と誤解(改正で廃止)

4覚え方・整理のコツ

「35条は前・37条は後・クーリングオフは8日」の語呂で前後関係を整理しよう。

よくある質問

35条の重要事項説明は誰が行わなければなりませんか?
宅地建物取引士(宅建士)が行います。専任宅建士である必要はありませんが、必ず宅建士証を提示して説明する義務があります。
37条書面はいつまでに交付しますか?
契約締結後「遅滞なく」交付します。具体的な日数は定められていませんが、実務上は契約当日か数日内が原則です。2022年改正で押印は不要になりました。
クーリングオフはどのような場合に使えませんか?
事務所等で申込・契約した場合、または物件の引渡しと代金の全額支払いが両方完了した場合は行使できません。告知から8日経過後も同様です。
クーリングオフの意思表示はどのように行いますか?
書面または電磁的方法で行います。口頭は認められません。書面発信主義のため、書面を発送した時点で効力が生じます。

記事の基本情報

対象試験宅地建物取引士試験
分野宅建業法
代表的な数値・期限重要事項説明は契約前・宅建士証提示必須。37条書面は遅滞なく交付。クーリングオフ行使期限は書面告知から8日以内。