手付金・媒介報酬・空き家特例 ── 宅建業法の「上限金額」徹底解説

宅建業者が売主となる売買契約において、手付金は売買代金の20%を超えて受領することができません。また、受領した手付金が「未完成物件では代金の5%超または1,000万円超」「完成物件では10%超または1,000万円超」に達する場合は、保全措置(銀行保証・保険・指定保管機関への預託など)を講じなければなりません。この閾値を正確に覚えることが、宅建業法の得点アップに直結します。

媒介報酬の上限は価格帯によって計算式が異なります。売買代金400万円超では「代金×3%+6万円」(税別)が上限で、200万円超400万円以下では「代金×4%+2万円」、200万円以下では「代金×5%」となります。これら三段階を合算した速算として、400万円超の物件では「税別16万円+代金×3%」という近似式がよく使われますが、試験では厳密な計算式で解答することが必要です。

2024年改正(施行)で注目されるのが低廉な空き家等の媒介報酬特例です。売買代金400万円以下の物件について、売主から受け取れる報酬上限が通常の計算式(税別約19.8万円)ではなく「税込33万円」に引き上げられました。さらに売主・買主双方から合計税込66万円まで受領できる特例があります。現地調査費用相当分を上乗せできるこの特例は空き家流通促進政策の一環であり、試験でも近年出題頻度が上昇しています。

1早見表

項目数値・期限補足
手付金上限(業者が売主)売買代金の20%以内超えた部分は業者が受領できない(超えた分は返還義務)。
手付金保全義務(未完成物件)代金の5%超 or 1,000万円超未完成物件はいずれかを超えた場合に保全措置が必要。
手付金保全義務(完成物件)代金の10%超 or 1,000万円超完成物件は閾値が5%→10%に緩和される。
媒介報酬上限(400万円超の売買)(売買代金×3%+6万円)×消費税速算式の基本形。消費税10%なら(3%+6万)×1.1。
媒介報酬上限(200万円超400万円以下)(売買代金×4%+2万円)×消費税中間帯の計算式。実務ではレインズ上の通常案件はほぼ400万超。
媒介報酬上限(200万円以下)売買代金×5%×消費税最も低い価格帯。
400万円以下の速算(実務簡便)税別16万円+3%分200万以下5%・200〜400万4%+2万を合算すると税別16万+3%。試験では正確な計算式を使うこと。
空き家・低廉物件の特例報酬上限売主・買主それぞれ税込33万円(合計66万円)売買代金400万円以下の空き家等。現地調査費用を合算した特例。片方は通常上限を超えられない場合あり。
賃貸の報酬上限(媒介)賃料1か月分×消費税(貸主・借主合計)居住用建物は借主側の承諾なければ0.5か月分まで。
手付の性質解約手付(原則)業者が売主の場合、手付は解約手付として機能。相手が履行着手前なら解除可能。

数値・手続の正誤は演習と公式テキストで必ず確認してください。

2試験で押さえるポイント

  1. 手付金上限は売買代金の20%(業者が売主の場合)
  2. 未完成物件の保全義務発生は代金の5%超または1,000万円超のいずれか
  3. 完成物件の保全義務発生は代金の10%超または1,000万円超
  4. 400万円超の媒介報酬上限は代金×3%+6万円(税別)
  5. 200〜400万円は代金×4%+2万円、200万以下は代金×5%(いずれも税別)
  6. 空き家等(400万円以下)の報酬特例は売主から税込33万円まで
  7. 賃貸媒介の報酬は貸主・借主合計で賃料1か月分×消費税が上限
  8. 手付は業者売主の場合は解約手付として機能し相手の履行着手前なら解除可能

3よくある誤解・注意点

  1. 未完成物件の保全義務の閾値を10%と誤解する(正しくは5%)
  2. 空き家特例の33万円が「税抜き」と誤解する(消費税込み33万円)
  3. 媒介報酬の速算16万+3%を試験に使いそのまま答える(正確な段階計算が必要)
  4. 賃貸媒介で借主から1か月分全額受領できると誤解(居住用は承諾なければ0.5か月)
  5. 手付金20%上限を「保全義務の閾値」と混同する
  6. 400万円以下の空き家特例が買主側にも同額適用されると誤解

4覚え方・整理のコツ

「未完成5%・完成10%」「400万超3%+6万」「空き家33万」の三つの数字セットを丸ごと暗記。

よくある質問

業者が売主の場合、手付金の上限はいくらですか?
売買代金の20%以内です。超えた分は業者が受領できず、万が一受領した場合は返還義務が生じます。この制限は業者以外が売主の場合には適用されません。
未完成物件の手付金保全義務はいくらから発生しますか?
受領する手付金が売買代金の5%を超える場合、または1,000万円を超える場合に保全措置が必要です。完成物件は10%超または1,000万円超と閾値が異なります。
空き家の媒介報酬特例はどのような内容ですか?
売買代金400万円以下の空き家等について、売主から受領できる媒介報酬の上限が税込33万円に引き上げられます。通常の上限(約19.8万円税込)より大きな額を受領できます。
400万円の物件の媒介報酬上限はいくらですか?
200万円超400万円以下の計算式「代金×4%+2万円」を適用すると税別18万円、消費税10%で税込19.8万円が上限です。空き家特例なら税込33万円まで認められます。

記事の基本情報

対象試験宅地建物取引士試験
分野宅建業法
代表的な数値・期限手付金は売買代金の20%以内。未完成物件は5%or1000万超で保全。空き家媒介の報酬上限は売主・買主合計で税込33万円。