地上権・地役権とは?用益物権の種類と違いをわかりやすく解説【宅建】
(ちじょうけん・ちえきけん)
地上権・地役権は用益物権(他人の土地を一定の目的のために使用する物権)の代表的な種類です。宅建試験では「地上権と賃借権の違い」「地役権の要役地と承役地」「不可分性・付従性」が頻出です。
用益物権とは
用益物権とは、他人の土地を一定の目的のために使用収益する権利のことで、地上権・永小作権・地役権・入会権の4種類があります(民法第265条〜第294条)。
補足:宅建試験では主に地上権と地役権が出題されます。いずれも物権(直接的・排他的に支配できる権利)である点で、債権である賃借権と区別されます。
地上権とは(民法第265条)
地上権とは、工作物または竹木を所有するため、他人の土地を使用する権利のことです(民法第265条)。
| 比較項目 | 地上権(物権) | 土地賃借権(債権) |
|---|---|---|
| 性質 | 物権(直接支配・排他的) | 債権(賃貸人への請求権) |
| 登記請求権 | 土地所有者に登記を請求できる | 賃貸人に登記を請求できない |
| 譲渡・転貸 | 土地所有者の承諾なしに可 | 承諾が必要(民法第612条) |
| 存続期間 | 当事者が自由に設定 | 借地借家法が適用 |
| 強さ | 物権なので第三者にも主張可 | 登記がないと対抗できないのが原則 |
根拠:民法第265条〜第269条
地役権とは(民法第280条)
地役権とは、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益のために利用する権利のことです(民法第280条)。
要役地:地役権によって利益を受ける土地(通行地役権なら「通行する側の土地」)
承役地:地役権の負担を受ける土地(通行される側の土地)
代表例:通行地役権(袋地が他人の土地を通行する権利)・引水地役権(用水を引く権利)・眺望地役権(一定高さ以上の建物を建てさせない権利)
地役権の重要な性質
付従性:地役権は要役地の所有権に従属します。要役地が売却されると地役権も一緒に移転します。
不可分性:要役地または承役地が分割されても、地役権は各部分に対して存続します(分割によって消滅しません)。
時効取得:地役権は継続的に行使され、かつ外形上認識できる場合に時効取得できます(民法第283条)。
試験ポイント
- 1地上権は物権・土地賃借権は債権。地上権者は土地所有者の承諾なしに譲渡・転貸できます。
- 2地役権の「要役地」と「承役地」を正確に区別する。利益を受ける側が要役地・負担する側が承役地です。
- 3地役権には付従性・不可分性がある。要役地の売却で地役権も移転、分割しても地役権は残ります。
- 4地役権の時効取得は「継続的・外形上認識できる」場合に限られる。単なる事実上の利用では時効取得できません。
練習問題
地役権に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- ア.地役権は要役地の所有権とは独立して単独で譲渡できる
- イ.要役地が分割されると地役権は消滅する
- ウ.地役権は要役地に従属し、要役地の売却とともに移転する
- エ.承役地の所有者は地役権の登記を拒否できる
地役権は付従性があり、要役地の所有権に従属します。要役地が売却されると地役権も一緒に移転します(民法第281条)。アは誤り(地役権は要役地から分離して譲渡できません)。イは誤り(不可分性により要役地が分割されても地役権は存続します・民法第282条)。
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権利関係の問題を解く(無料)よくある質問
Q地上権と賃借権の最大の違いは何ですか?
地上権は物権で、土地所有者の承諾なしに譲渡・転貸でき、登記を請求できます。賃借権は債権で、譲渡・転貸に賃貸人の承諾が必要です(民法第265条・第612条)。
Q地役権の要役地と承役地の違いを教えてください。
要役地は地役権によって利益を受ける土地(例:通行する側)、承役地は負担を受ける土地(例:通行される側)です(民法第280条)。
Q地役権の不可分性とは何ですか?
要役地または承役地が分割されても、地役権は分割後の各部分に対して存続するという性質です(民法第282条)。