宅建業法

手付金・保全措置とは?要件と方法をわかりやすく解説【宅建】

(てつけきん・ほぜんそち)

手付金とは、売買契約の締結時に買主が売主に支払う金銭のことです。宅建業者が売主の場合、一定額を超える手付金を受け取るには保全措置(万一の場合に手付金を返還できるよう担保すること)が義務付けられています。宅建試験では「保全措置が必要な金額の要件」と「保全措置の方法」が繰り返し出題されます。

手付金とは

手付金とは、売買契約の締結時に買主から売主に支払われる金銭のことで、解約手付として機能する場合は、売主が履行に着手する前であれば買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を返還することで契約を解除できます。

手付の3種類:①証約手付(契約成立の証拠として交付)②解約手付(相手方の履行着手前に一定の制裁で解除可能)③違約手付(違約時の損害賠償の予定)。宅建業者が売主の場合に交付された手付は、解約手付としての性質を持ちます(宅建業法第39条)。

保全措置が必要な条件

宅建業者が売主で一般消費者が買主の場合、手付金等が以下の金額を超えるときは、受領前に保全措置を講じなければなりません。

物件の状態保全措置が必要な条件(どちらかを満たすと必要)
未完成物件(建築中等)代金の5%超、または1,000万円超
完成物件代金の10%超、または1,000万円超

根拠:宅建業法第41条・第41条の2。「手付金等」とは手付金・中間金など、引渡し前に受け取る金銭の合計です。

重要:未完成物件の方が条件が厳しい(5%)のは、完成前に宅建業者が倒産するリスクが高いためです。「未完成は5%・完成は10%」と覚えましょう。

保全措置の方法

保全措置の方法未完成物件完成物件
銀行等(金融機関)による保証○ 利用可○ 利用可
保険事業者による保証保険○ 利用可○ 利用可
指定保管機関(手付金等保管事業者)による保管× 利用不可○ 利用可

根拠:宅建業法第41条・第41条の2。指定保管機関は完成物件のみ利用可能です。

手付金の上限・その他のルール

・宅建業者が売主の場合、手付金の額は代金の20%を超えてはなりません(宅建業法第39条第1項)。

・宅建業者が売主の場合に交付された手付は、解約手付としての性質を持ちます(宅建業法第39条第2項)。

・買主は相手方(売主)が履行に着手するまでは、手付を放棄して契約を解除できます。

・売主(宅建業者)は相手方(買主)が履行に着手するまでは、手付の倍額を返還して契約を解除できます。

試験ポイント

  • 1「未完成は5%超・完成は10%超」の使い分けが最重要。数字を逆にした引っかけ選択肢が毎年出ます。
  • 2「指定保管機関は完成物件のみ」を覚える。未完成物件に指定保管機関は使えません。
  • 3手付金の上限は「代金の20%」。「30%まで可能」などの誤りの選択肢に注意しましょう。
  • 4保全措置は「受領前に」講じること。受領した後では遅いので「受け取る前に保全措置を完了させる」ことが条件です。

練習問題

問題 1

宅建業者Aが売主、一般消費者Bが買主の売買で、代金4,000万円の未完成物件(マンション)について、Aが受領できる手付金等で保全措置が不要な上限額はいくらか。

  • ア.100万円以下
  • イ.200万円以下
  • ウ.400万円以下
  • エ.1,000万円以下
正解:イ(200万円以下)
未完成物件では「代金の5%超または1,000万円超」で保全措置が必要です。4,000万円 × 5% = 200万円。200万円を超えると保全措置が必要になるので、保全措置が不要な上限は200万円以下です(宅建業法第41条)。
問題 2

手付金等の保全措置に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ア.未完成物件の場合、指定保管機関による保管を利用できる
  • イ.完成物件の場合、保全措置が必要なのは代金の5%超の場合である
  • ウ.完成物件では、指定保管機関による保管を保全措置として利用できる
  • エ.手付金の上限は代金の30%である
正解:ウ
アは誤り(指定保管機関は完成物件のみ。未完成物件には使えません)。イは誤り(完成物件の要件は10%超。5%超は未完成物件)。ウが正しい(完成物件では銀行保証・保証保険・指定保管機関の3方法が使えます)。エは誤り(手付金の上限は代金の20%です・宅建業法第39条)。
問題 3

宅建業者が売主の場合の手付に関して、正しいものはどれか。

  • ア.手付は証約手付としての性質のみを持つ
  • イ.売主が履行に着手した後でも、買主は手付を放棄して解除できる
  • ウ.売主は、買主が履行に着手する前であれば手付の倍額を返還して解除できる
  • エ.手付を放棄して解除するには、相手方の承諾が必要である
正解:ウ
アは誤り(宅建業者売主の手付は解約手付としての性質を持ちます・宅建業法第39条)。イは誤り(「相手方が履行に着手する前」が条件です。売主が着手した後は解除不可)。ウが正しい(買主が履行に着手する前であれば、売主は手付倍返しで解除できます)。エは誤り(相手方の承諾は不要です)。

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用語を理解したら実際の問題で定着を確認しましょう。宅建業法の過去問・オリジナル問題を解説付きで演習できます。

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よくある質問

Q未完成物件と完成物件で保全措置の要件はどう違いますか?

未完成物件では代金の5%超または1,000万円超、完成物件では代金の10%超または1,000万円超で保全措置が必要です(宅建業法第41条・第41条の2)。未完成物件の方が要件が厳しくなっています。

Q保全措置の方法にはどんなものがありますか?

銀行等(金融機関)による保証、保険事業者による保証保険、指定保管機関による保管の3種類があります。ただし指定保管機関(手付金等保管事業者)は完成物件のみ利用可能で、未完成物件には使えません(宅建業法第41条・第41条の2)。

Q手付金の上限はいくらですか?

宅建業者が売主の場合、手付金の額は代金の20%を超えてはなりません(宅建業法第39条第1項)。20%を超える特約を結んでも、その特約は無効となります。