営業保証金と弁済業務保証金の違いとは?わかりやすく解説【宅建】
(えいぎょうほしょうきん・べんさいぎょうむほしょうきん)
営業保証金とは、宅建業者が取引で損害を与えた場合に備えて直接法務局に供託するお金のことです。弁済業務保証金とは、保証協会(宅建業保証協会)に加入した業者が納付する分担金で、保証協会が代わりに法務局に供託します。両者は金額・供託の仕組みが大きく異なります。宅建試験では数字と手続きの違いが必出です。
2つの制度とは
営業保証金とは、宅建業者が自ら主たる事務所の最寄りの法務局に供託するお金のことで、弁済業務保証金とは、宅建業保証協会に加入した業者が少額の分担金を納付し、保証協会が代わりに法務局に供託することで、同等の保護機能を果たす制度です。
補足:「供託(きょうたく)」とは:金銭・有価証券などを法務局(供託所)に預けることです。取引で損害を受けた者は、この供託金から弁済を受けることができます。宅建業者が倒産や不正行為を起こした場合でも、顧客が一定額の弁済を受けられるようにする仕組みです。
2つの制度の比較
| 項目 | 営業保証金 | 弁済業務保証金 |
|---|---|---|
| 対象となる業者 | 保証協会に加入しない業者 | 保証協会に加入した業者 |
| 供託先 | 業者が直接法務局へ供託 | 保証協会が法務局へ供託 |
| 主たる事務所の金額 | 1,000万円 | 分担金60万円(保証協会に納付) |
| 従たる事務所1か所あたり | 500万円 | 分担金30万円 |
| 事務所が1か所(主のみ)の場合 | 1,000万円 | 60万円 |
| 弁済の申し出先 | 直接法務局 | 保証協会 |
| 根拠条文 | 宅建業法第25条〜 | 宅建業法第64条の2〜 |
※弁済業務保証金の分担金は供託ではなく保証協会への「納付」です。保証協会が取りまとめて法務局に供託します。
開業時の手続きの流れ
営業保証金の場合(保証協会に加入しない)
① 宅建業者が主たる事務所の最寄りの法務局に営業保証金を供託する
② 免許権者(都道府県知事または国土交通大臣)に供託した旨を届け出る
③ 届出後に業務を開始できる
供託できるもの:金銭のほか、国債証券・地方債証券・その他有価証券(評価額は種類により異なる)
弁済業務保証金の場合(保証協会に加入する)
① 宅建業者が保証協会に分担金を納付する(主たる事務所60万円 + 従たる1か所30万円)
② 保証協会が受け取った分担金を法務局に弁済業務保証金として供託する
③ 宅建業者は業務を開始できる(供託の手続きを自分でする必要がない)
保証協会への分担金は金銭のみ(有価証券での納付は不可)
試験ポイント
- 1数字は「1,000万円・500万円」vs「60万円・30万円」。保証協会に加入すると約1/17の負担で開業できる点が重要です。
- 2営業保証金の供託先は「主たる事務所の最寄りの法務局」。「最寄りの法務局」という限定が引っかけとして使われます。
- 3分担金の納付は「金銭のみ」。営業保証金は有価証券での供託が可能ですが、弁済業務保証金の分担金は金銭のみです。
- 4弁済の申し出先が違う。営業保証金は直接法務局、弁済業務保証金は保証協会に申し出ます。
練習問題
宅建業保証協会の社員(加入業者)が、主たる事務所1か所・従たる事務所2か所を有する場合、保証協会に納付する弁済業務保証金分担金の合計額はいくらか。
- ア.60万円
- イ.90万円
- ウ.120万円
- エ.150万円
弁済業務保証金分担金は主たる事務所60万円 + 従たる事務所1か所あたり30万円です。従たる事務所が2か所なので、60万円 + 30万円 × 2 = 120万円です。
営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ア.営業保証金は、最寄りの市役所に供託する
- イ.営業保証金は、主たる事務所の最寄りの法務局(供託所)に供託する
- ウ.営業保証金の供託は、金銭のみで行わなければならない
- エ.保証協会の社員は、営業保証金の供託をしなければならない
アは誤り(供託先は法務局〈供託所〉)。イが正しい(主たる事務所の最寄りの法務局に供託します・宅建業法第25条)。ウは誤り(金銭のほか国債証券等の有価証券でも供託可能)。エは誤り(保証協会の社員は分担金を保証協会に納付するだけでよく、自ら供託する必要はありません)。
保証協会の社員である宅建業者と取引して損害を受けた者が弁済を受けようとする場合、申し出る先として正しいものはどれか。
- ア.法務局(供託所)に直接申し出る
- イ.保証協会に対して還付請求(認証)を申し出る
- ウ.都道府県知事に申し出る
- エ.宅建業者の本店に直接請求する
弁済業務保証金制度では、損害を受けた者はまず保証協会に対して認証申請を行い、保証協会が認証した金額について法務局から還付を受けます(宅建業法第64条の8)。営業保証金の場合は直接法務局に申し出る点と対比して覚えましょう。
この用語が出る問題を解く
用語を理解したら実際の問題で定着を確認しましょう。宅建業法の過去問・オリジナル問題を解説付きで演習できます。
宅建業法の問題を解く(無料)よくある質問
Q営業保証金と弁済業務保証金の金額の違いは何ですか?
営業保証金は主たる事務所1,000万円+従たる事務所1か所500万円です。弁済業務保証金の分担金は主たる事務所60万円+従たる事務所1か所30万円で、営業保証金の約1/17の負担で済みます(宅建業法第25条・第64条の9)。
Q保証協会に加入すると何が変わりますか?
保証協会(宅建業保証協会)に加入すると、自ら営業保証金を供託する必要がなく、少額の分担金を保証協会に納付するだけで開業できます。保証協会が代わりに法務局に弁済業務保証金を供託します(宅建業法第64条の2〜)。
Q営業保証金の供託先はどこですか?
営業保証金は、主たる事務所の最寄りの法務局(供託所)に供託します(宅建業法第25条)。従たる事務所の最寄りではなく、あくまで「主たる事務所の最寄り」の法務局であることに注意が必要です。