質権・先取特権・留置権とは?担保物権の種類と比較をわかりやすく解説【宅建】
(しちけん・さきどりとっけん・りゅうちけん)
質権・先取特権・留置権は、抵当権と同じく担保物権(他人の財産から優先弁済を受ける権利)の一種です。宅建試験では「各担保物権の成立要件」「占有の要否」「優先順位」が出題されます。
担保物権の4種類
| 種類 | 占有 | 成立 | 優先弁済権 | 留置的効力 |
|---|---|---|---|---|
| 抵当権 | 不要(非占有担保) | 設定契約 | あり | なし |
| 質権 | 必要(占有担保) | 設定契約+占有移転 | あり | あり |
| 先取特権 | 不要 | 法律上当然に成立 | あり | なし(動産は占有) |
| 留置権 | 必要 | 法律上当然に成立 | なし | あり(最大の特徴) |
根拠:民法第295条〜第341条
質権(民法第342条)
質権とは、債権者が担保として債務者等から受け取った物を占有し、債務不履行の際に他の債権者に優先して弁済を受ける権利のことです。
質権の成立には占有の移転(引渡し)が必要で、設定者に返還すると質権は消滅します。
動産質・不動産質・権利質の3種類があります。
不動産質の場合、質権者は目的不動産を使用収益できます(抵当権者は不可)。
質権者は目的物を第三者に譲渡・転貸することはできません(設定者の承諾があれば可)。
先取特権(民法第303条)
先取特権とは、法律の規定によって当然に成立する担保物権で、一定の債権を有する者が、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられる権利のことです。
一般の先取特権:債務者の総財産を目的(共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給)
動産の先取特権:特定の動産を目的(不動産賃貸・旅館宿泊・運輸等)
不動産の先取特権:特定の不動産を目的(不動産保存・不動産工事・不動産売買)
先取特権は設定契約不要で法律上当然に成立します。
留置権(民法第295条)
留置権とは、他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権が弁済されるまで、その物を留置(手放さない)できる権利のことです。
成立要件:①他人の物を占有②その物に関して生じた債権③債権の弁済期が到来していること
留置権は優先弁済権がなく、物を手放さないことで間接的に弁済を促します。
留置権者は善良な管理者の注意で目的物を保管する義務があります。
留置権は競売申立権は認められます(民法第322条)。
重要:留置権は「弁済を受けるまで手放さない」という効力(留置的効力)が最大の特徴で、優先弁済権はありません。抵当権・質権・先取特権は優先弁済権あり、留置権は優先弁済権なしという対比が試験ポイントです。
試験ポイント
- 1留置権には優先弁済権がない。「留置権で競売して優先的に回収できる」は誤りです。
- 2質権の成立には占有移転(引渡し)が必要。「占有を移転しなくても質権を設定できる」は誤りです(抵当権との違い)。
- 3先取特権は設定契約不要。法律上当然に成立する点が他の担保物権と異なります。
- 4抵当権だけが「非占有担保」。質権・留置権は占有が必要です。
練習問題
担保物権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ア.留置権には優先弁済権がある
- イ.抵当権は目的物を占有しなければならない
- ウ.先取特権は設定契約なしに法律上当然に成立する
- エ.質権は目的物を占有しなくても成立する
先取特権は法律上当然に成立し、設定契約は不要です(民法第303条)。アは誤り(留置権には優先弁済権がありません)。イは誤り(抵当権は非占有担保で占有移転不要)。エは誤り(質権は占有の移転〈引渡し〉が成立要件です・民法第344条)。
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権利関係の問題を解く(無料)よくある質問
Q留置権と抵当権の最大の違いは何ですか?
留置権は占有が必要で優先弁済権がありません。抵当権は占有不要で優先弁済権があります(民法第295条・第369条)。
Q先取特権とは何ですか?
法律の規定によって当然に成立する担保物権で、一定の債権者が他の債権者に優先して弁済を受けられる権利です(民法第303条)。
Q質権と抵当権の違いは何ですか?
質権は目的物の占有移転が必要で、目的物の使用収益権が質権者に移ります。抵当権は占有不要で、設定者が引き続き使用収益できます(民法第342条・第369条)。