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宅地建物取引士試験 実践演習 第876問(権利関係)
AはBに「A所有の土地を売る権限」を委任した。ところがBはこの代理権を利用して、Aに無断でCから金銭を借り入れA名義の借用書を作成した。BはAが金銭の借入れについての代理権を与えていないことを知っている。Cは「BはAから金銭借入れの代理権も与えられている」と信じ、信じることに正当な理由があった。この場合に関する記述として民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。
問題
AはBに「A所有の土地を売る権限」を委任した。ところがBはこの代理権を利用して、Aに無断でCから金銭を借り入れA名義の借用書を作成した。BはAが金銭の借入れについての代理権を与えていないことを知っている。Cは「BはAから金銭借入れの代理権も与えられている」と信じ、信じることに正当な理由があった。この場合に関する記述として民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。
選択肢
- (1) Bに土地売却の代理権しかないため、金銭借入れ行為は当然に無効であり、Aは借入れの責任を負わない
- (2) Bが土地売却の基本代理権を有しており、CがBに金銭借入れの代理権もあると信じたことに正当な理由があれば、民法110条の表見代理が成立し、AはCに対して借入れ債務を負う可能性がある
- (3) 表見代理が成立するにはAの何らかの帰責行為が必要であり、単に代理権を与えただけでは足りない
- (4) CはBに対して無権代理人の責任(民法117条)のみを追及できる
正答
正答は (2) です。
解説
代理:代理行為の効果は本人に帰属・表見代理・無権代理
正解の理由
代理人が代理権の範囲内で行った行為の効果は本人に帰属します(民法99条)。無権代理は本人の追認で有効になります。表見代理は外観を信頼した相手方を保護する制度です。
(2) Bが土地売却の基本代理権を有しており、CがBに金銭借入れの代理権もあると信じたことに正当な理由があれば、民法110条の表見代理が成立し、AはCに対して借入れ債務を負う可能性がある
他の選択肢
(1) Bに土地売却の代理権しかないため、金銭借入れ行為は当然に無効であり、Aは借入れの責任を負わない
この肢は「Bに土地売却の代理権しかないため、金銭借入れ行為は当然に無効であり、Aは借入れの責任を負わない」と述べていますが、権利関係の基準では正しい記述ではありません。
正答(2)「Bが土地売却の基本代理権を有しており、CがBに金銭借入れの代理権もあると信じたことに正当な理由があれば、民法1…」は、制度・手続・学習法のいずれかの観点で適切な内容です。
正答の論点と照らすと、この肢は「Bに土地売却の代理権しかないため、金銭借入れ行為は当然に無効であり、Aは借入れ…」という断定のどこかが設問の前提と矛盾します。主語・客体・数字・期限・「毎年/常に/不要」などの限定語をチェックしてください。(3) 表見代理が成立するにはAの何らかの帰責行為が必要であり、単に代理権を与えただけでは足りない
民法110条の表見代理は基本代理権の存在と相手方の正当な信頼が要件です(判例)。「代理権を与えただけでは足りない」という追加要件はありません。代理権授与自体が本人の帰責事由と解されます。
(4) CはBに対して無権代理人の責任(民法117条)のみを追及できる
表見代理が成立する場合、Cは本人Aに対して契約の履行を求めることができます。また表見代理を主張しない場合はBへの無権代理人責任追及も選択できます。「のみ」という限定は誤りです。
学習のヒント
民法110条の権限外行為の表見代理は、基本代理権(土地売却の代理権)があれば、それとは異なる行為(金銭借入れ)についても成立しえます(判例)。相手方の正当な信頼を保護するためです。基本代理権の範囲が異なっていても表見代理の成立は妨げられません。
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